- ガットの変形
- ボールの変形
- フレームの変形が考えられます。
ガットによる反発力
まずはガットのたわむことでのボールの飛びについて考えていきましょう。図のようにボールのインパクト時にはガットがδだけたわんでいきます。ガットそのものを見てみるとΔLだけ伸ばされることにもなります。 伸ばされたガットは元の長さに戻ろうとしますので、下図の青色の矢印の向きの力が発生します。
ボールを弾き返す反発力はこの青い矢印の合力である赤い矢印で示される力だということが分かります。
テンションの大小による影響
ラケットでボールを打った時にガット面はたわみますが、ガットを張る時のテンションの大小はこのことにどのように影響していくでしょうか。
ここでストリングの伸びとテンションの関係をグラフに表してみました。ここでテンションT0を得るにはストリングを初期の長さからL0だけ伸ばす必要があ ります。この時を例えばテンション50でストリングを張った状態だとします。ここからボールインパクトを迎えた時にストリングはたわみ、その時のストリン グ自身の伸びはL1-L0となります。この時ストリングの一本一本のテンションはT1となり上のグラフに示した合力の赤矢印成分が反発力となります。もし 仮にテンションを60で張った場合を想定すると、ボールインパクトの前の状態(定常状態)でテンションは50ポンドで張ったときの定常状態よりも当然高 く、ボールインパクト時の一定たわみに対する合力もより大きくなります。同じエネルギーを持ったボールを同じようなエネルギーで打ち返す場合この二つのテ ンションの違いは、インパクト時のストリング面のたわみ量を変えることになります。テンションが高いほどストリング面がたわみにくくなるのです。たわみに くくなった分ボールを打つ時のエネルギーはどこに及ぶのでしょうか。それがラケットのフレームそのものを変形させたりボールをつぶしたりするようになるの でしょう。
ボールによる反発とガットによる反発
ボール自体の反発はテニスのルールによってある範囲に定められています。1mの高さからコンクリートの上に落とした場合約55cmの高さまで跳ね上がる とされています。テニスボールはレギュレーションによってわざと反発のエネルギーを吸収するようになっているのです。将来的にもしかすると高速化するテニ スのプレーにある一定のブレーキをかけるためにこの反発をさらに弱めることが起きるかもしれませんね。
一方ボールを固定したラケットの上に落とした場合は上記55cmよりも高く跳ねあがることでしょう。これはボールで吸収されていたエネルギーの一部を ガットが伸びることでいったん吸収しそしてエネルギーの損失を少なくまたボールの運動エネルギーへと返しているのが理由です。硬く張ったガットほどガット のたわみは小さくなるので、ボールにエネルギーを吸収されてしまう量が多くなってしまうのです。吸収される時のボールは具体的にはそのかたちが一瞬潰れる ことによって起こるでしょう。
ラケットフレームの変形による反発
ボールを打った時にはラケットフレームも変形します。一度変形したラケットは元に戻ろうとしますが、この時の復元力でボールを打ち返すようにも 思うかもしれません。しかし実際にはボールはフレームが復元するよりもずっと早くガット面上から離れていくようです。ボールがラケットから離れてからよう やくフレームが元の形に戻るのです。
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