サーブ

トスアップ

サービスでボールをトスアップしたときにボールが乱れてしまう原因として次が挙げられます
  • 手首を使いすぎている
  • ボールがトスアップする手のひらの上を転がっている
  • ボールを放すタイミングが安定しない
  • 曲げた肘を伸ばしながらトスアップしている
  • ボールが手を離れるタイミングが肩よりも下になっている。
  • 曲げた膝を伸ばしながらトスアップしている

トスアップしたボールを安定させるためには動作をシンプルにすることです。腕を上げる手首を使う膝を使うといった動作の要素が増えるごとに、それら総合 的な動作の精度は劣ってしまいます。膝を伸ばす勢いをトスアップに使うのも精度を落とす原因になるでしょう。でしょうか。この他に気がつくのがトスアップ を膝を曲げ伸ばしの勢いを使っているケースも見受けられます。動作の要素が増え精度が落ちるばかりか視線の高さが変わるためにトスアップの目標位置を正確 に捉えることも難しいでyそう。同様に曲げた肘を伸ばす勢いを使ってボールをトスアップする方法も精度を落としてしまいます。

シンプルな動作ということで考えれば、伸ばした腕をそのまま下から上へ移動するだけでトスアップを実現することになります。

トスアップするときにボールを手から離すタイミングに付いても注意が必要です。肩よりも低い位置でボールを手から離してしまうとそのままではボールは体 から遠くに飛んでいってしまいます。このようなタイミングでボールを正しい打点位置へとあげようとすると、手首のスナップを使うことになりこれは先程のシ ンプルな動作に反することになります。ボールを離すタイミングを手首が肩よりも高い位置で行えば、ボールは遠くに行くことは決して無く、シンプルな動作で ボールを正しい打点へと上げることも出来るようになるでしょう。

プロネーション動作について

サービス動作でプロネーションをさせることが最重要であるような記述を多く見かけます。実際のプロの動作はどうなっているかをフェデラーの三次元解析結果から見てみることにしよう。

まずは、プロネーションと同じように見える肩関節における上腕の旋回運動に注目します。上腕の内旋・外旋運動は肘の向きが変わることから、前腕で起こる 回内(プロネーション)・回外とは容易に区別することが出来ます。上腕の旋回運動と前腕のそれとでは使われる筋肉は異なってきますが、肩関節にかかわる筋 肉は前腕をねじる筋肉よりも大きいため発生する力の大きさは上腕の旋回運動の方が大きいと言ってもよいでしょう。そして作用点に相当する手首の位置が肩関 節から遠くなることで、モーメントや遠心力と言った力を利用することも可能となるはずです。

上 のグラフはフォワードスイングにおける上腕の旋回状態を示しています。インパクトの直前まで上腕は外旋によって力を蓄えているのが分かります。そしてイン パクトにかけて一気に外旋を内旋方向へと戻しています。この動きを使ってラケットスイングを加速しているのが分かります。

一 方前腕部で起こる回内・回外についてはどうでしょう。インパクト直前で回外された後はインパクトに向けて徐々に中立へと戻されています。しかしこのグラフ からは積極的に回内(プロネーション)させている様子は見られませんでした。プロネーションばかり意識しすぎると、かえってボールへの当たりが薄くなって しまうことも有るでしょう。プロネーションではなくその反対の回外動作をさせた前腕をインパクトのタイミングに向けて戻して行くといった意識を持つ方が良 いのかもしれません。

インパクトでの姿勢

サービスやスマッシュでボールを打つ瞬間にお辞儀をするように腰が折れてしまうと、打ったボールはネットに掛かってしまうでしょう。フォワードスイ ングの途中で腰が折れてしまう原因がいくつか考えられます。まずは打球の瞬間に体が打球方面に対して真正面に向いていることが挙げられます。ラケットのス イングはボディーターンによって生み出されるのが理想としているのですが、ボディーターンが終了したあと状態が打球方向に対して正面に向けられるのは、 フォロースルーが終わった頃になるのが良いでしょう。ボディーターンが早くなってしまい、ボールインパクトの時点で上体が打球方向に対して正面向きになっ てしまうことは、打球時に腰が折れやすい原因にもなるでしょう。これはいわゆる体の開きが早いという状態なのかもしれません。適正なボディーターンが行わ れれば、ボールインパクトの瞬間では上体は打球方向に対してやや斜め向きとなっていますので、腰が折れることもないでしょう。

ラケットのスイングを腕の力に頼りすぎてもまた同じような現象を見ることがあります。腕を思いっきり打球方向へと振るとその反動でおしり側が打球方向に 対して後ろ向きへと動かされます。このことと、上体が打球方向に対して正面に向いてしまうことが同時に起こると、腰が折れて打球が地面方向へと飛んでいき やすくなってしまいます。

どうやって腕の力に依存しない、そして上体が折れることのないスイングが可能になるのか。それは下半身から始動するボディーターンを積極的に活 用する他ありません。そのためにはフォワードスイングの前には上体が打球方向に対して横向きになっていること、ボールインパクトの瞬間では上体は打球方向 に対して斜め向きのタイミングであること、フィニッシュの段階でようやく上体が打球方向に向いていることを理解すれば、正しいボディーターンが実現してい るでしょう。そして腕の力を抜いて、ボディーターンによって腕が振らされ、遠心力で肘が伸び、ラケットが打点へと伸びていくといった一連のイメージが出来 上がると良い結果に結びつくことでしょう。

サービスのトスアップの目標位置

サーブにおいて、トスの位置を前にするということも良く言われますが具体的にはどの位置が適切なのでしょう。

ここでは一例としてATPトップ選手によるサービス動作を3次元解析結果から解説を行います。

左のイラストはフォワードスイングを開始するフォーム及び打点の位置においたボールを表しています。

左肩ごしにボールを見るようにしっかりと上体がひねられているのが分かります。この姿勢から左肩の真上からコート内へ伸ばした線上にボールはトスアップされています。

意外と体の正面にトスアップされていると思うかもしれません。これはフラットサーブを打った時のシーンですが、スピンサーブの場合はもう少しトスアップの位置は左側へとなるでしょう。

フォワードスイングの間に、選手は背中側に傾いた回転軸をを中心としてボディーターンをしますのでインパクトの瞬間には結果的に右腕が上空に向けて伸ばされることで、丁度この打点と合うようになります。

もしトスアップの位置が右にずれていたとしたら、回転軸が地面に対して垂直になり、ボディーターンの運動とラケットが振り上がっていく運動のベクトルに大きく違いが出てきますので、運動連鎖の悪い動きになっていくことになります。

トスアップのボール軌道

トスアップしたボールの軌道は掌からまっすぐ上にイメージしているかもしれませんが実はそうではありません。

左のイラストはATPトップ選手によるサーブモーションを3次元解析を行った結果からCG化したものですが、ここではトスアップ前の映像にボールをインパクトする瞬 間の映像を重ねて表しています。この図の破線で示すように、トスアップされたボールは放物線を描いていることが分かります。もしトスアップしたボールが地 面に対して垂直に上げられてしまえば、打点はこれよりもずっと右側になります。これでは適切なボディーターンを促すための体の回転軸の倒れも実現すること が難しくなるでしょう。

もし体の回転運動とサービスのモーションの連携がうまくいかないと感じている場合には、このトスアップの軌道を見直してみると改善するかもしれ ません。トスを上げたボールが適正ポイントから右側にずれているのかもしれません。詳しくはトッププレイヤー完全コピーマニュアルVol.2にて確認して みてください。

トスアップの軌道は放物線を描いて自分の方に戻ってくる

サーブ トロフィーポーズでの姿勢

サーブを打つ際に足元が決まらずに不安定になってしまう人は多いものです。その原因は一つにはトスの不安定さがあるでしょう。トスの位置が乱れれば、それを無理やり打とうとして体勢が崩れてしまいます。当然足元もトスに合わせようとして動いてしまうのでしょう。

サーブではボールをトスアップした後のトロフィーポーズでいかに姿勢が安定しているかが重要になります。スタンスに関して言えば選手それぞれでタイプが あります。両足を適度に広げたスタンスのままトロフィーポーズをとるタイプ、前足を固定して後ろ足を前足に引き寄せるタイプ、前足をステップインした後に 後ろ足をっ引き寄せるタイプ。そのいずれもがトロフィーの時点では前足にその体重が載せられていることです。

ひとたび体重が前足に載せられれば、そこから前足を動かすことは容易ではありません。つまりスタンスが動かないと言うことから安定が生まれます。適切な 位置にボールがトスアップ出来なかった場合、足元を無理に調整してボールを打とうとしても、前足のポジションが変えられないことから、ボールを打つことを 諦めようと思えるでしょう。再度トスアップし直してサービスを打てばよいでしょう。

サーブにおける足の使い方を正しく理解していない場合にも足元の乱れにつながりやすいでしょう。トロフィーポーズにおいて膝は適度に曲げられ、 フォアードスイングにおいてはその膝の伸びる動作を上体の回転動作へと連動していくのですが、このメカニズムを理解していなければ、上体を無理に回そうと するあまり、足の使い方がサーブを打つたびにばらばらになってしまうようです。サーブを打つ前そしてトロフィーポーズで必要な足のスタンス、つま先(膝) の向き、膝の曲がり具合、大腿部と骨盤部(股関節)の曲がり具合、それぞれの状態をチェックしてみよう。

スイングの方向は打球方向とは一致しない

ATPトップ選手のサービスフォームを3次元解析を行った結果から、フォワードスイングでの腕、手首のスイング軌道は打球方向と一致しないことがわかりました。

左の図から分かるように打球方向に対して斜め右にラケットがスイングされています。打球方向とこのように角度が違っていてもボールは打球方向へ打たれるのは、インパクトの直前でラケットフェイスの向きが急速に変化するからです。

このようなラケットの動きを実現させるためにはボディーターンと上腕の内旋から外旋への動きが重要となってきます。上腕部を旋回することで、ラケット フェイスの向きはフォワードスイングの初期ではフレーム側がボールに向かっていた角度も、インパクト直前にはラケットフェイスがボールへと向かいます。ま たボディーターンの回転方向と上肢の運動のベクトルが一致することで、ラケットそのものは打球方向とは異なり、斜め前方にその軌道が向かいます。

解析結果の詳細はトッププレイヤー完全コピーマニュアルVol.1を参照下さい。

サービス動作中の回転軸

ATPトップ選手のサービス動作の3次元解析結果からインパクト直後の様子を紹介します。トロフィーポーズの段階では右足は膝を曲げられていたのですが、フォワードスイングでは一気に上方へと伸ばされ、それと同期するようにボディーターンが始まります。インパクト直後のフォームを横から見れば体幹及び右足を通る軸は前傾しているようにも見えます。

ピンと伸ばした右足が体幹と一致しているのがわかります。地面に対して垂直にな前足から見れば、上体が前傾しているように見えますが、体幹と右足を軸としてボディーターンがなされたと言うことを考えればこれは理にかなった動きの結果と言えます。 前傾することに注力してしまうと、体の回転がおろそかになってしまい、インパクトの時点で腰が折れたようになり非力なサービスとなってしまうでしょう。一見前傾しているように見えていても、実際には軸が正しくy回転動作を行った結果だと考えることが出来ます。ボディーターン中の回転軸もボディーターンの始める前のトロフィーポーズの段階で既に地面に対して斜めに傾いていることも重要になってきます。

サービス動作、スイング前のスタンスについて

ここではサービスのトスアップ前のスタンスについて考えてみましょう。ベースラインに対して次のようなスタンスをとっている場合があるかもしれません。

両サイドからサービスを打つ際にベースラインを基準にすればスタンスの角度は常に一定で(図の場合は90度)決めやすいと言うメリットが有るかもしれません。

しかし打球方向に対して見るとこのスタンスの置き方では、各サイドで異なるスタンスの角度を持つことになります。

もし各サイドからのサーブでこのようにスタンスをとれば、打つサイドによってフォームが変わってしまうことにもなります。例えばデュースサイド でのサーブは調子が良くても反対側のアドバンテージサイドではサーブの調子が全く上がらないケースもあったとします。その原因はもしかすると打つサイドに よってフォームが変化しているかもしれません。または、デュースサイドにだけに打ちやすいフォームをアドバンテージサイドでも気づかずに使っているのかも しれません。

両サイドとも同様のフォームでサービスを打つのであれば、その時のスタンスは打球方向を基準として考えるべきでしょう。

こ の図は打球方向のラインに対してスタンスは一定の角度に置かれています。この時ベースラインに対してそぞれぞのスタンスをみれば、それぞれの角度は当然 違っています。このスタンスを取った場合にはアドサイドではまるで背中を相手に向けるかのようにも見えるかもしれません。しかし打球方向を基準として考え れば、デュースサイドであろうとアドサイドであろうと、一定の角度ででスタンスを決めているにすぎないことが分かるはずです。

次に球種によってスタンスは変化するのかについて考えてみましょう。まずはフラットサーブについてですが、簡単にするためにコートの形状は無視して打球方向を基準に考えてみます。

この例ではスタンスはややクローズドに構えたうえで、図の矢印のようにボールが飛ぶと仮定します。もしこのスタンスのままでスライスサーブを打つとどうなるでしょうか。

トッププレイヤー完全コピーマニュアルVol.2でも紹介していますが、フラットサーブとスライスサーブは全く同じフォームによって打ちだされています。 ただ1点異なるのがインパクトの瞬間でのラケットとボールの接触角度のみです。ということは同じスタンスで打ったとしてもフラットでの打球方向に対して、 スライスサーブはインパクトの時点でやや左方向へと飛び出し、さらにスライス回転によってボール軌道は左へと変化して行くことになるのです。

次にスピンサーブはどうでしょうか。スピンサーブではフラット、スライスサーブよりも体の回転軸を大きく背中側に倒す必要があります。

背中側に傾いたことで、体が倒れてしまわないように支えが必要になります。その時に使うのが後ろ足である右足と言うことになります。右足を背中後方に引 くことで、回転軸を傾かせても安定したトロフィーポーズを作ることが出来るようになります。この時のスタンスを見ればフラットよりもさらにクローズドな角 度になっているでしょう。

単純に球種によってスタンスを変えればよいと考えてしまうと、その本質を見失うことがあります。何のために、何を基準にスタンスを決めていく か、その結果としてクローズドスタンスのそれぞれの角度の大きさが決まってくるのです。間違ったスタンスはフォームを狂わせてしまうことも有るでしょう。

サービスでのラケットダウンのタイミング

サービスの一連のフォームの中でラケットヘッドを背中の後ろに落とす瞬間があります。そのタイミング次第ではサーブ動作をスムーズにもしますが、間違ったタイミングではかえって動作がぎこちなくなってしまいます。ではどのタイミングでラケットダウンし、そして打点へと振り上がっていくのでしょうか。

ここでもATPトップ選手のサービス動作の3次元解析結果から見てみましょう。
トッププレイヤー完全コピーマニュアルVol.2より

トロフィーポーズとなった1ではまだラケットは上空へ向けて立てられています。この後フォワードスイングで曲げられた両膝が伸びていきますが、この動作に伴ってラケットヘッドが背中後方へと降ろされていくのがわかります。そしてラケットヘッドが再び持ち上がるきっかけは、選手の両足が地面から離れる瞬間であることも分かります。

このようすを見ても、ラケットヘッドはサーブの一連の動作の中で最後に出ていくのが分かります。フォワードスイングの後半においてラケットヘッドは急激に加速して、打点へと向かっていきます。そしてその結果威力のあるボールを打てるのでしょう。

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